バンドストーリー

バンドストーリー

In Mari Dormiens.

泡沫の箱庭

キャラクター: ドロリス / 三角 初華、モーティス / 若葉 睦、ティモリス / 八幡 海鈴、アモーリス / 祐天寺 にゃむ、オブリビオニス / 豊川 祥子

テキスト

祥子もしもあの日々が続いていたら…… わたくしは、幸福でいられた

祥子涙を流すことなく、あたたかな光に包まれて——

燈?手を、取って祥ちゃん。 あの頃に、戻ろう

祥子ええ……燈!

燈?……

祥子——と、でも言うと思いまして?

燈?え……

祥子お母様も、燈も……わたくしも。もうそこにはおりません

祥子眩しく美しい思い出はすべて、弱いわたくしの墓の下ですわ

祥子わたくしはAve Mujicaのために神になったのです。 神に——迷いはありませんわ

燈?……

祥子いい加減、その姿をおやめになって。 あなたは、燈などではありません

少女——ふふ、そうこなくちゃ

少女この程度の誘惑では、もう揺るがない。 それがわかってよかったよ

祥子しがらみに囚われ、罪を重ねた過去は……もう忘れましたわ。 ただ、流した涙の痕にわたくしたちは立っているのです

祥子神を甘い言葉で籠絡しようなど——冒涜ですわよ

祥子あなた、何者ですの

少女ふふ、その問いに答える時間はないみたい。 お迎えだよ

???『……きちゃん! さきちゃん!』

祥子この声は——

初華『さきちゃん! 手を……!』

少女これからも楽しみにしてるよ。 オブリビオニス、忘却の女神

祥子お待ちになって、あなたは——

祥子ここは……フロア? 初華……?

初華……! さきちゃん!

初華よかった、気がついたんだ

祥子……わたくしは、一体

初華覚えてない? ひとりで踊ってたんだよ?

初華あ、ごめん

初華様子がおかしかったから……

祥子そう……あなたが……

初華えっ?

祥子まだ音楽は鳴りやんでいませんわ

初華でも私、ワルツなんて……!

祥子初華

祥子すべてをわたくしに委ねて

初華……うん!

audienceh素晴らしい! エクセレント!

祥子わぁ! 素敵なダンス!

祥子! この声、先ほどの——?

初華あはは、さきちゃんすごい……!

祥子ふふ……初華こそ。さすがアイドル、ダンスはお手のものですわね

初華ねえ、さきちゃん……さっき何が——

祥子——時間ですわ。 行きますわよ、初華

祥子本当のマスカレードというものをお見せして差しあげましょう

初華うん……!

数時間後

オブリビオニス今宵のマスカレードはこれまで。 皆様、どうぞ良い夜を……

秘書オブリビオニスさん、どうぞ花束を受け取ってください。 これは豊川グループからの感謝の気持ちです

にゃむうわ、すっごい薔薇!

祥子(この方はたしか……おじいさまの秘書)

観客I豊川グループともあろうものが、バンドなんぞに縋って イメージ回復ですか。大衆に取り入ろうなんて堕ちたものね……

観客Jいやいや、Ave Mujicaに目をつけたのは正しいことですよ。 ご覧になったでしょう、あれだけの演奏と世界観! 本物です!

観客K多額の損失も、穴埋めできるやもしれませんな。 それに孫娘ならば家名を守れて本望でしょう。 まさに血は水よりも濃い。うつくしき家族愛ですな

定治……

祥子(いつまでも豊川の恩恵を受けられるわけではない……)

祥子(豊川から自立し、ムジカを盤石なものとしなければ。 わたくしの目的はそれのみ)

祥子(この場にいるゲストすべてを魅了し、ムジカの協力者にする。 それが悪魔であろうと利用してみせますわ)

オブリビオニスありがとうございます。 なんて素敵な花束……皆を代表してお礼申し上げます

オブリビオニス甘美な饗宴を望む限り、 Ave Mujicaは皆様のよきパートナーであり続けますわ

オブリビオニスそれでは、ごきげんよう

終演後

エメラルド・シンフォニー号 船尾

祥子ふぅ……風が気持ちいい

祥子パーティの熱気に当てられましたわ。 ですがゲストの皆様とも交流できましたし………

祥子それにしても……

祥子(あれは白昼夢……? それとも、少女の姿を借りた何かが見せた幻影……?)

祥子(いいえ、あれはきっと——)

祥子わたくしの覚悟は揺るぎませんわよ。 ——悪魔がいくら惑わそうとも

祥子っ! すごい風………

祥子……美しき花は、ここに眠るべきですわね

祥子おやすみなさい……どうかいい夢を。 わたくしの……眩しく、美しかった思い出たち…………