家族のことも、自分のことも
私は考えたことがなかったのだな
Details
12:44
- Chapter
-
THAT KIND 愛
- Duration
- 12:44
- Release
- Dec 31, 2025
- Characters
-
須賀 蕾叶
,
馬橋 心玖
,
矢倉 蓬咲
,
梅里 ちえり
, and
四宮 寧月
Text
147
Background
そ、ソファに寝かせたら、次はどうするんですか……!?
蕾叶が助けるって言ったんです、
何か考えがあるんですよね!?
(1、目の前のトラブルを最速で処理。
2、物件探し再開)
(3、この寮を出て、生活環境を整える。
……よし)
呼吸は……うん、ちゃんとしてるね。
じゃあ次は熱測ろっか
ど、どうしよう……知らない人だ……
心臓がキリキリしてきました……!
うっそだ〜!
私と一緒にオロオロしてたじゃんか〜!
蕾叶こそ、あれだけデカいこと言って
ノープランだったじゃないですかっ
それならちえりがありったけのお惣菜をもらってきます!
体調も万全じゃないのに、いきなり普通のご飯は食べられないよ。
それよりも先にやることがあると思う
蓬咲さん、救急セット。
蕾叶ちゃんはタオルとお湯の用意
ちえりちゃんはお水の用意と、
もしブランケットがあれば貸してあげて
ふふん、ちえりだけミッションが2つ……!
いいでしょう、任されました!!
よかった〜……!
いっぱい食べて元気になれ〜……!
うむ……私の名は四宮寧月。
月ノ森女子学園中等部の2年生だ
お嬢様よりちえりの方がすごいですね!
ちえりは道端で倒れたことありませんっ
そのうち胃が奇妙な音を鳴らして、
視界が真っ暗になり、気づいたらここにいた
奇妙な音……?
まさか、お腹がすいたことに気づいてなかったんじゃ……!?
でも元気になってよかったね〜。
ここから自分のおうちに帰れそうかな?
家を出て、車に乗り、知らない街で降ろされ……
今に至る
私の世話をする『ばあや』がいた。
どこへ行くにもばあやが付き添うのが常なのだが……
突然、ばあやはここまでだと言って、
封筒をひとつ渡して私を降ろしたのだ
なんですかそれ……!
寧月の部下はずいぶんと薄情ですねっ
そんなことはない。
ばあやは私のためになることしかしない人だ
……私は『家族から離れなければならない』と
ばあやが言っていた
詳しくはわからない。
ただ母と姉が口論をしたらしい。
だからこの家から離れるべきだと
ケンカってことですか?
それ、追い出される理由になってませんっ
ていうか、どんな理由があっても
家族を追い出すなんてありえないよ!
え? だってお母さんとお姉さんのせいで
寧月が大変な目に遭ってるんだよ!?
そうだよ! こんなの全然ピースな家族じゃない……!
寧月は悲しくないの? 怒ってないの?
なぜ母と姉が口論になったのか、
なぜ私が家を離れなければいけないのか、
それについて私自身がどう思うのか……
家族のことも、自分のことも
私は考えたことがなかったのだな
(……家族もやばそうだけど、この子もやばいでしょ。
自分の状況、わかってないなんて……)
ああ、姉からの手紙などいろいろ入っていたものだ。
たしかポケットに……
えっと……『寧月はもっと広い世界で生きられるよ。
私のようにはならないで』……?
すまない。
警察への連絡は、やめてもらえないだろうか
ああ、ばあやを困らせてしまいそうなのだ。
私を外で1人にしたとバレてしまっては、クビになる
何より、『外の世界で、知らなければいけないことがある』
というばあやの言葉……
……部下を大切にしたいって気持ちはわかります。
でも何を知らなきゃいけないか、わからないじゃないですかっ
寧月の話を聞いてたら
なんか寂しい気持ちになったんだ
たぶん『考えたこともなかった』って
愛の反対だと思うから
一緒に暮らす大切な人たちのことも
自分のことも愛して、寧月には思いっきり笑ってほしい
だから寧月。うちで暮らそう!
今日から5人のファミリーだ!
もう新しい人が入るんですか!?
心玖さんが来たばっかりなのに!?
抜け駆けはずるいですよ、蕾叶!
寧月はちえり連合に入るかもしれないのに!
同じ家で寝て、ご飯食べて、バンドすれば
ファミリーになるんだよ
私がばーちゃんに教わったように
寧月に私が教えたい
愛情みっちみちの、ピースなファミリーさえあれば
人生は最高だって!
(こいつ……いいこと言ってる風だけど
なんっにもわかってない)
(他人の家庭事情に、子どもが首を突っ込むなんて
無責任すぎる)
(よその子を勝手に住まわせるなんて
それこそ警察沙汰じゃない)
(何よりこいつが、『家族』を教える?
異常な家族観を押し付けるヤツが何を教えられるわけ?)
(それに……家族に苦しめられる人がいるなんて
『考えたこともない』んでしょ)
(……なんて、あたしがわざわざ
言ってあげる必要もないけど)
私は蕾叶! 左から心玖、チェリ、蓬咲。
みんな私のファミリーだよ
ありがとう、蕾叶とそのファミリー。
さっきの提案、考える時間をもらえないだろうか
うん、わかった!
とりあえず今夜は泊まっていってよ
寧月。こういう時は『すまない』じゃなくて
『ありがとう』だよ!
仕方ないですね。新入りの寧月には、
ちえりのブランケットを一晩使う権利をあげます!
う〜っ、予告もなしに新しい人と一晩過ごすなんて
私の心臓が〜……!!