変わんないけど進化中!!

う〜ん……気持ちを知るって難しいな〜……!

Details 16:23
Chapter
THAT KIND 愛
Duration
16:23
Release
Dec 31, 2025
Characters
須賀 蕾叶 , 馬橋 心玖 , 矢倉 蓬咲 , 梅里 ちえり , and 四宮 寧月

Text 177

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ライブ終演後

蕾叶
あっ、心玖!
どこ行ってたの?
心玖
ごめんね、ちょっと外に出てたんだ。
ここ、暑かったから
蓬咲
よ、よかった……帰っちゃったかと思いました〜……!
ちえり
まったく、ちえり褒め称えタイムを
無断欠席するなんて、困った部下ですね!
寧月
心玖がいないと、一番に気づいたのはチェリだった
ちえり
ふふん、当然です!
部下のことはちゃんと見てますよっ
蕾叶
チェリは心玖にも褒めてもらいたかっただけだろ〜?
鈴木
……蕾叶さん、皆さんも。
ライブお疲れさまでした
蕾叶
あ……鈴木さん。
お疲れさまです
蕾叶
私たちのライブを観て、考えは変わったでしょ?
鈴木
……正直、想像よりは悪くないライブでした
ちえり
ふふん、そうでしょう!
鈴木
でも、問題は解決していません。
それとこれとは話が別です
鈴木
今日の客入り、酷いものでした。
このまま続けたって何も変わりませんよ
蕾叶
変わりますよ!
ファミリーも、ライブも全部!
蕾叶
ファミリーが変われば、ホームも進化します!
鈴木
また精神論……!
こちらは目に見える根拠がほしいんですよね〜
鈴木
ほんと、子どもはビジネスがわからないから困ります
蕾叶
なっ……!! じゃあ満員のお客さんが入ったら
諦めてくれるってことですか〜?
鈴木
まあ、集客力を示してくれるのであれば
ないこともないですけど〜……そんなこと無理ですよね?
蕾叶
ナメてもらっちゃ困りますよ、鈴木さ〜ん
鈴木
えっ……!?
蕾叶
今の私たちなら、次の週末のライブは
このハコをお客さんでみっちみちにできますけど〜?
心玖
蕾叶ちゃん……!
鈴木
言いましたね!?
じゃあやってみてください! 絶対無理なんで!
蕾叶
うちのファミリーに『絶対』も『無理』もありません〜!
鈴木
チケット、ソールドアウトにならなかったら
今度こそライブハウスをいただきますからね!
心玖
……はぁ〜……
鈴木
あ……!
やっぱりあなた、前に私がスカウトした方ですよね?
心玖
? そうですけど……
蕾叶
鈴木さん、うちのファミリーに近寄らないでくださ〜い!
しっしっ!
鈴木
〜〜っ!
それじゃあ来週、楽しみにしてますから!
鈴木
……でも……これは使える……♪
蓬咲
えっえっ!?
もしかして今、来週もライブすることになってます!?
心玖
うん……また、蕾叶ちゃんが決めちゃったね〜
ちえり
またちえりの許可なしに勝手なことを〜!
蕾叶
でも今日のライブで思ったでしょ?
私たちならできるって!
蓬咲 and ちえり
そういうことを言ってるんじゃないのに……!!
そういうことを言ってるんじゃありません!!
蕾叶
ううっ……なんだよ、みんなして〜!
蕾叶
寧月〜。寧月は来週もライブしたいよね〜?
楽しみだよね?
寧月
? 決まったことなら、やろう
蕾叶
ほら〜。寧月の言う通りだと思わない?
ちえり
だ〜か〜ら〜……!
代理
おーい、早く片付けしてよ〜。
お片付けまでがライブだぞ〜
一同
……はーい
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その夜

蕾叶
みんな〜、お菓子持ってきたよ〜!
蕾叶
今日は最高のファミリーライブ成功記念に、
ポテチとチョコと〜……せんべいもつけちゃうっ!
蓬咲
す……すごい量のお菓子だ〜……!
寧月
ふむ……馴染みのない菓子が多いな。
どんな味がするのだろう
ちえり
呑気にお菓子パーティしてる場合ですか!!
蕾叶 and 蓬咲
えっ
ちえり
鈴木さんの問題、また拗れちゃったんですよ!
心玖
ちえりちゃんの言う通りだよ〜
心玖
今度はチケットを全部売らないと、本当にライブハウスが
奪われちゃうかもしれないってことだもん
寧月
そうだったな。すまない。
初めて見る菓子に意識を持っていかれてしまった
心玖
(猫を追いかけて地図なくしたって聞いたし
このプリンセス、意外と本能的なんじゃ……)
寧月
確か集客力を示す、という話だったが……
蕾叶、何か策はあるのか?
蕾叶
ない!!
一同
…………
蕾叶
あはは、大丈夫だって!
ファミリーが進化すれば、ホームも進化する!
蕾叶
来週の今頃は、もっとでっかいお祝いしてるはずだよ!
絶対そうなる!
蓬咲
鈴木さんには『絶対』なんてないって言ってたのに〜……!!
蕾叶
それはそれ、これはこれ!
心玖
(ダメだこいつ)
心玖
蕾叶ちゃん……そもそもこの問題って
大人たちで解決するべき話じゃないの?
蕾叶
え?
心玖
ライブハウスはお祖母さんのものなんだよね?
心玖
蕾叶ちゃんの決めたことに従うって、聞こえはいいけど
責任を子どもに押し付けてるように見えるな〜って
蕾叶
ばーちゃんはそんな人じゃないよ!
私のために『Nest』を残してくれたんだもん!
心玖
残して、くれた?
蕾叶
うん。ばーちゃんたちが旅に出る前、
『Nest』は潰れる予定だったんだ
蕾叶
でも私がばーちゃんに頼み込んで、なんとか残してもらったの。
ばーちゃん、色んな人に頭下げてくれてさ
蕾叶
『蕾叶の気が済むまで続けな! ばーちゃんたちは味方だ』って
そう言ってくれたから
心玖
(それってつまり……あんたのわがままに
あたしたちが巻き込まれてるってことじゃない……!)
寧月
蕾叶のお祖母様は、蕾叶がどうしたいのかを
尊重してくれたということなのだな
蕾叶
うん! それがファミリーだって、ばーちゃんが……
蕾叶
…………
ちえり
どうしたんですか、急に黙って
蕾叶
いや……ばーちゃんたちはそう言ってくれたけど
みんなの気持ちはわかんないなって
心玖
……!
蕾叶
私たちはこれからファミリーになっていくんだもんね。
だったらみんながどう思ってるか聞かないと!
蕾叶
蓬咲、今日のライブどうだった?
やってみて何か変わったりした?
蓬咲
えっ!? いきなり私ですか!?
蕾叶
ほら、私と正反対だって言ってたでしょ?
だから蓬咲の今の気持ちが知りたくて
蓬咲
う〜っ……そ、そんなまっすぐ見ないでくださいっ……
蕾叶さんが期待するようなことは何も言えません……!
蕾叶
私の期待?
蓬咲
『ライブをしてみたら楽しくって幸せでした! もっとここで
ライブしたいです!』って言ってほしい目してます!
蕾叶
ええっ!? よく見て!
私、そんな目してないよ!
蓬咲
ぎゃーーっ、近すぎます!!
ちえり
も〜、蓬咲!
自分の意見くらい堂々と言いなさいっ
ちえり
蕾叶がどう思うか、話すまでわからないじゃないですか!
蓬咲
う……それは、そうですけど〜……
蓬咲
……わ、笑ったりしないでくださいね……
蕾叶
うん、約束する
蓬咲
今日のライブ……
ぜ……全部怖かったです!!
蓬咲
私なんかがあんなに大きい音を出すのも、
袖に立つことも、すっごく怖かったです……けどっ!
蓬咲
何より堂々と光を浴びてつよつよの演奏ができる皆さんが
怖かったんです!!
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蓬咲
私にはあんなこと、絶対できない……!
どうして皆さんとこんなに違うんだろうって思って……
蓬咲
袖とステージの距離が、
日本とブラジルくらい開いてるように感じたんです……
蕾叶
蓬咲……それって――
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ちえり
蓬咲はちえりのようになりたかったんですね!!
蓬咲 and 蕾叶
え!?
ちえり
ちえりはいつでも堂々と、あのどデカい楽器を叩いてる!
そういう姿に憧れたんでしょう!
蕾叶
そういうことだったの!?
蓬咲
ぜぜ全然違います〜〜!!
私はそれが怖かったって話を……!
寧月
蓬咲の感情は、
『畏敬の念』に近いものなのだろうか……?
ちえり
イケイケの念!?
寧月
深く尊敬するあまり恐怖も感じることだ。
皆の話を聞いていたらそんな言葉が浮かんだ
蕾叶
す……すご〜〜い!!
寧月、物知りだね!
心玖
寧月ちゃん、そういうことは知ってるんだ
寧月
音楽家たるもの教養は必要だと、
母に多くの本を与えられたのだ
心玖
(音楽と教養に全振りしたんだ、この子……)
蓬咲
尊敬するから、怖い……
そういうことなのかな……
蓬咲
そうだとしたら、私は皆さんと違って
ダメダメのよわよわだって突きつけられただけですけど……
蕾叶
そっかぁ……今の話、私には蓬咲が
前に進んでいるように感じたけどなあ
蓬咲
え?
蕾叶
蓬咲、前はライブ中に周りを見るなんてしなかったでしょ?
自分の楽器を弾くだけで限界だって
蕾叶
でも今日はみんなのことを見られた!
みんなのことや自分のことを考えることだってできた!
蕾叶
それって蓬咲が前に進んだ証拠なのかなって!
蓬咲
……あ……
蕾叶
もしかしたら次のライブでは、袖とステージの距離が
日本とアメリカくらい近づくかもしれないよ!
蓬咲
蕾叶さん……
蓬咲
はっ!! そうやってまた私にライブさせようと
してませんか!?
蕾叶
えっ? あ、そうなるのか!
蓬咲
無自覚で人をその気にさせようとして、ずるいです〜〜!
蕾叶
ずるい!? これ、ずるいことなの……!?
蕾叶
う〜ん……気持ちを知るって難しいな〜……!
心玖
(でしょうね。
そう簡単に人は変わんない)
心玖
(でも……)
蕾叶
なんか頭使ったら甘いもの食べたくなってきた〜……
よしっ、お菓子開けよう!
ちえり
あっ、まだ話は終わってませんよ!
ちえりはライブの許可をしてませんっ
蕾叶
あれ、チェリはライブやりたくないんだ〜?
満員のお客さんの前でドラム叩けるのに〜?
ちえり
なっ……!!
蕾叶
じゃあ私がチェリの分まで歓声もらっちゃお〜っと
ちえり
させませんっ!!
一番大きな歓声を浴びるのはこのちえりです!
蕾叶
おっ、そっちがその気なら……
ちえり
はいっ、勝負です!!
早速ちえり連合の会議を始めますよ!
ちえり
この勝負、スカスカのフロアじゃ意味がありません。
満員にする方法を考えますよ!
寧月
わかった。私も考えよう
蓬咲
結局ライブする流れになっちゃってる〜……!
この空気じゃ断れないし〜……
蕾叶
心玖〜、何かいいアイディアないかな?
心玖
……蕾叶ちゃん、わたし今日のライブだけって言ったよ?
蕾叶
いやいや心玖さ〜ん、
本当はもうちょっとやりたくなったんじゃないの〜?
心玖
…………
蕾叶
私だってもっと心玖と一緒にギター弾きたいしさ〜。
ねっ、お願い!
心玖
……来週までだからね
蕾叶
心玖、ありがと〜〜!
愛してるっ!!
心玖
うわあっ!?
ちょっと、離れてほしいな〜……!
蕾叶
やだ!! 離さないっ!
心玖
……はぁ……
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翌朝

心玖
んーっ……
心玖
(静かで、気持ちいい朝……
こんな早くから犬の散歩をしてる人もいるし……)
心玖
ん……?
寮の前にいるスーツの人……もしかして
鈴木
あっ。心玖さ〜ん!
おはようございますっ
心玖
(下で手振ってる……いや、見なかったことにしよう)
鈴木
ちょっとちょっと! 外、出てきませんか?
心玖
……こんなとこにいたら、また蕾叶ちゃんに怒られますよ〜
鈴木
いやいや〜、本当にすぐ終わるんで!
心玖さんにだけ耳寄りな情報ですっ
心玖
…………
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心玖
それで、お話ってなんでしょう?
鈴木
今日はあなたに、これを渡しに来たんです!
心玖
これ……名刺と、アイドルプロジェクトの資料?
心玖
前にも言ってくださいましたけど、
わたしアイドルに興味なくて〜……
鈴木
大丈夫です!
やってるうちに興味が出る人も結構多いんですよ
鈴木
あなたは才能があります!
きっとすぐに人気が出て、センターだって夢じゃない!
鈴木
……そんな逸材を見つけた私の評価も鰻上り……むふふっ
心玖
……あの〜鈴木さん、わたし……
鈴木
ああ、今すぐに答えなくて結構です!
ゆ〜っくり考えてください!
鈴木
少しでもその気になったら、
いつでも名刺の番号にご連絡を! それじゃ!
心玖
いや、あの……!
心玖
はぁ……あの人、あれでうまくやれてるつもり……?
心玖
ん? ……『アイドル専用のスタジオに、宿舎も完備』……
心玖
(この話に乗れば、寮を出られる。
もちろん、実家に帰る必要もない)
心玖
(どうせ今日から、またストレスばっかの日常が始まる。
それなら……)
心玖
…………
心玖
(今は、いいや)
心玖
(来週まで付き合うって、言っちゃったし)