心玖は本当に、
ファミリーが嫌で出て行ったんだろうか?
Details
16:13
- Chapter
-
THAT KIND 愛
- Duration
- 16:13
- Release
- Dec 31, 2025
- Characters
-
須賀 蕾叶
,
馬橋 心玖
,
矢倉 蓬咲
,
梅里 ちえり
, and
四宮 寧月
Text
166
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1週間後
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全員で朝ご飯を食べるのもバンドをするのも
ここの生活全部、嫌だったの!
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あれっ、炊けてない……!
また私スイッチ入れ忘れた……!?
やっと起きてきたんですね!
ほら、ぼーっとしてないでご飯の準備してくださいっ
それなんだけど……
ご飯炊けてないし、冷凍ご飯も残ってなかった
ちえりのパンが棚にあります。
ありがた〜く食べてください!
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――それじゃあちえりは先に出ます!
片付けは任せましたよっ
今日もぼーっとした蕾叶を
引きずって登下校してくれってことですか……
んもおおおおっ!!!
いい加減にしてくださいっ!!
うう……不快なオーラしか生み出さない
よわよわ人間ですみません……
蕾叶は腑抜けた顔でバイトもバンド練もミスばっかり!
寧月は〜……あんまり変わりませんけど……っ
家事もバイトもバンド練も、
しっかりしてるのはこのちえりだけです!!
た……たまたまです!
たまたま、偶然、出しちゃっただけで……
あ〜〜もうっ!!
それもこれも全部心玖のせいです!
最近みんながたるんでるのも!
ちえりの調子が出ないのも、全部!
蕾叶が謝ってばっかなのもイライラします!!
一体なんなんですか!?
……私が『ファミリー』のためにしたこと
全部間違ってたのかなって
私のパソコンを使った時は
全然操作できなかったのに……
ギラギラのつよつよ……!
今の私には、ちょっと早いかもですけど〜……
今まで黙っていてすまない。
心玖が出ていく前日に、渡されたのだ
本当は、心玖の言葉を理解してから
渡そうと思っていたが……
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――で、ここをクリックすると曲が流れるの。
……覚えられた?
うむ。蓬咲に基礎知識を教わっておいてよかった。
おかげで今の話も理解できた
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あれからずっと『なんとなく』について考えていたのだ
心玖が直接曲を渡さなかったのも
私が預かってしまったのも、私が心玖を止められなかったのも
すべて、なんとなくだった。
この意味がわからないと、曲を渡す資格もないと思ったのだ
『なんとなく』は今もわからないままだが……
曲を聴いてみて、わかったことがある
全体はシンプルに、
しかし賑やかな雰囲気になるよう考えられた構成
蓬咲には跳ねたリズムが活きるベースラインを。
チェリにはドラムが目立つよう印象的なフレーズを
私には少なくなったパートの補填と見せ場のフレーズを。
そして蕾叶には楽しく歌えて弾けるギターとメロディを
……ファミリーに敬意と愛情がなければ
こんなふうには作れない
心玖は本当に、
ファミリーが嫌で出ていったんだろうか?
私、『ファミリーだから』ってみんなを巻き込んだし……
あ〜〜もうっ!! んなこと今更すぎます!!
全部わかった上で、こっちは付き合ってるんですよ!!
心玖の本当の気持ちは曲に詰まってる!
寧月がそう説明してくれたじゃないですか!
ちえりは目の前にいる部下を信じます!
蕾叶は目の前の『ファミリー』を信じられないんですか!?
ふっ……あはは……!
そうだよね。ほんと、チェリの言う通りだ
私、みんなを信じる。
私の『ファミリー』を信じるよ!
チェリさん、漢気溢れる喝でした……!
番長っぽくてかっこいいです〜……!!
ふふん、そうでしょう!
尊敬したっていいんですよ!
あんなふうに曲を理解できるのは
寧月だからできることだよ
あの日の心玖は……
もしかしたら、素直になれなかったのかな
本当は何を考えてるのか、
心玖の言葉で教えてもらおうよ
……って言っても、心玖さんの居場所
わからなくないですか?
Background
その夜
一家Dumb Rock!
Sticker
Sticker
私なんかが何度も連絡をしてすみません😭😭😭
でももう一度お話をさせてほしくて……!
Sticker
このちえりを無視するんですか!
部下なら出なさい!😡😡⚡⚡
(あいつら……!
なんでまだあたしに構うのよ……!)
(さっさと自分たちの問題をどうにかして。
なんのためにあたしがあの曲を――)
Background
(パパが出て行って、ママと2人になった。
ママは仕事を増やし、憔悴していった)
(元々手伝うことが多かったけど、
家のことは全部あたしがやることになって……)
(パパとも友達とも遊べない寂しさを
ギターで埋めてた)
う〜ん……パパはもっと上手だったなぁ……
よし、もういちど……!
心玖……またそんなもの出して遊んでたの?
何、私への当てつけ?
本当はあの人と一緒に出ていきたかったんでしょ……!
私を置いていけばよかったじゃない!
(ママを怒らせたくない一心で
ギターはしばらく押し入れの奥にしまった)
……ぐすっ、ひっく……もう嫌……!
なんで私ばっかりこんな目に……!
……そんなに泣いたら、また目はれちゃうよ。
あしたもおしごとなんでしょ?
――っ、そうよ!!
明日も明後日もずっと働かないと、食べていけないでしょ!?
あ……ああ、ごめんねみくちゃん……!
こんなダメなママでごめんなさい……!
だいじょうぶ。みくがしっかりするから。
だから……だいじょうぶだよ
(『明日はママが笑っていますように』
『これ以上、家族が壊れませんように』)
(毎日そう祈って、壊れた『家族』を
どうにか繋ぐことだけを考えてた)
(その生活に慣れると、ママに絶対バレないよう
ギターを弾く時間も作れるようになった)
(あたしが頑張れば、ママとふたりで幸せになれる。
そう信じていたけど――)
Background
ふふ……あのね、今度みくちゃんに
会ってほしい人がいるの
すっごく素敵な人だよ。
きっとみくちゃんのいいパパになると思う
ママ、再婚しようと思うの。
もうこんな苦しい生活、一緒にやめよう?
Background
(あたしが頑張れば、
いつか家族で幸せになれるって信じてた)
(でも現実は違う。
お母さんは他の大人に頼れるようになり、救われた)
(あたしの8年分の努力は、他人に一瞬で越えられてしまう。
『家族愛』なんてそんなもん)
(『ママすっごく幸せ。
みくちゃんが頑張ってくれたおかげだね』って)
(あたしは『幸せな家族』を知らない。
別にそれでいい。だけど――……)
Background
(あいつらはこんな思いをしなくていい。
バカな顔して脳天気に笑ってればいいの)
(この曲が似合うのは、『ファミリーさえあれば人生最高』とか
バカみたいに本気で叫べるヤツらだけ)
Background
えっと、明日のスケジュールは……
ボイトレの後に、ダンスレッスン……