(この小さな世界はきっといつか終わる。
朝、夢から覚めるように——突然、否応なく)
詳細
17:28
- チャプター
-
泡沫の箱庭
- 再生時間
- 17:28
- 公開
- 2025/12/31
- キャラクター
-
ドロリス / 三角 初華
、
モーティス / 若葉 睦
、
ティモリス / 八幡 海鈴
、
アモーリス / 祐天寺 にゃむ
、
オブリビオニス / 豊川 祥子
テキスト
183
背景 · 2
空港
このままスイス、というわけですのね。
着の身着のまま行かせるおつもり?
旦那様のお言い付けです。ご用命があればのちほど……
(彼女たちの人生を逃げずに背負うと覚悟した矢先に——)
(これが神様の決めた運命だとでも言うんですの。
わたくしはいつもそう)
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背景
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港
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声をかけていただいて助かりましたわ。
手持ちが雀の涙でして……行けるところまでで
豊川のお嬢さんをほっぽるなんてしないよ。
どこいくの?
ありがとうございます。三角さんと言う方のお宅は……?
ああ……本土に引っ越したよ。
おねえちゃんなら……あ
背景
豊川家 別荘
……さきちゃん、もう帰ったほうがいいよ。
私とは会わないほうが……
背景
どうしてお返事くださらなかったの?
おじいさまの言い付け?
うん。お母さんがここの管理人をしてた。
私が生まれて辞めたから、さきちゃんは会ったことないよね
あなたは初音さん、ですわよね?
初華というのはいわゆる偽名?
イラスト
私より活発で、虫取りが好きで
アイドルになりたかったのが……本物の初華
イラスト
イラスト
ずっと嘘ついてて……ごめん。
……ごめんなさいっ!
住み込みで管理人をさせてもらえることになったから
学校も転校すると思う
明日終わるかも、今日かも、って毎日怖かった。
いっそ何もかも捨てて楽になりたいって
思ったこともあったけど……
イラスト
イラスト
背景 · 2
……うれしかったんだ。さきちゃんに必要とされて。
私がぜんぶ忘れさせてあげたかった……
できるわけないのに。
嘘だらけの私が敵うはずないのに
……誰しも秘密のひとつやふたつ持ってますわ。
それをすべて共有しなくても裏切ってるなんて思わない
さきちゃんがお父さんとどういう生活をしていたか。
私が元凶だから——
……これでわかったでしょ?
ぜんぶ、ぜんぶ私のせいなの
背景
背景
はぁ……はぁ……さきちゃん……!
さきちゃん! 港は? 最終便出ちゃうよ?
……着きましたわ。
明るい時間だとなんだか違う場所みたいですわね
ここって……
あ、さきちゃんそんなとこ座ったら汚いよ……?
背景
この島も悪くないんだ。星がきれいだから。
さきちゃんと出会えて、すこしでもいっしょにいられて
すごく……すごくしあわせだった
しあわせなんて言える立場じゃないけど。
……この思い出があるから生きていけると思う
背景
背景
ここでいっしょに星を見ましたわね。
あれは……あなた?
イラスト
背景
近道使えばフェリーに間に合いますわ。
さぁ走りますわよ、初音!
背景
背景
フェリー船上
間に合ってよかったですわね。
ふふ、すっかり汗だくですわ
無理やりつれてこられた、ってわたくしのせいに
すればいいですわ
さきちゃんを裏切ってたんだよ!? 私が………
さきちゃんを……
あなたとわたくしを取り巻く不幸と後悔。
しがらみのすべて
すべてを忘れて、なかったことにするんですわ。
そうすればなににも囚われない
イラスト
誰が許さないのっ!? 誰が決めたのっ!
どうして言うことをきかなくちゃいけないのっ!
初音も初音ですわ! こんの、このっ……!
ばか〜〜〜っ!
なんですの。わたくし怒ってるんですの。
わたくしの覚悟を甘くみないでちょうだい
背景
イラスト
背景
イラスト
初音。祥子を連れてきた時点でお前の役割は
終わったはずだが?
………さきちゃんのそばにいさせてください!
あなたに、豊川の家に迷惑は——
あの男と同じ轍を踏むつもりか?
いますぐ出ていけ。金輪際豊川の敷居を跨いではならん
豊川、豊川ってそんなに偉いんですか?
わたくしたちが何をしたって言うんですの?
わたくしも出ていきます。
もうおじいさまの言いなりにはなりません
背景 · 2
ふふっ! おじいさまの顔ったら!
鳩に豆鉄砲とは、まさにあれですわっ! ふふっ
動かないで、取ってさしあげますから。
ほら、じっとして
……ほら、取れましたわ。
こんなに小さいてんとう虫が怖いんですの?
こ、怖いんだって〜!
さきちゃん、こっち向けないで〜
イラスト
背景 · 2
たしかなものなんて、
揺るぎのないものなんて、何一つありませんわ
Ave Mujica
さすがに顔出さないと。
コーヒー淹れるからもうちょっと寝てていいよ
(運命に……世界に背を向けても
なにかが変わるわけではありませんわ)
(この小さな世界はきっといつか終わる。
朝、夢から覚めるように——突然、否応なく)
(けれど、できるだけ。もう少しだけ微睡みに
浸っていたい)