私は……誰かに自慢できる特技も、まして才能なんて
全然ないからさ〜
詳情
14:21
- 章
-
花飾りのためのデコール
- 時長
- 14:21
- 發布
- 2025年12月31日
- 角色
-
汐見 蛍
、
伊沢 なつめ
、
琴平 凪
、
浜崎 まほろ
和
和泉 朋花
文字
169
背景
翌日
背景
ガレージ
ていうか、あたしのチューナーペダルだから無理。
ボードに繋いじゃってるし
(うう……これから初練習……
心臓がばくばく言ってる……!)
ふふ、ただの練習です。
そんなに構えなくても大丈夫ですよ
(クラシックの伴奏とは全然違ってて……
緊張しない方が難しいよ……!)
わたし、立つ場所ここでいいんですかね……?
お邪魔じゃないですか……?
私たちもリハビリみたいなところあるし。
少しずつ慣れていけばいいからね!
練習がんばったら、おやつタイムもあるよ!
蛍ちゃんは好きなお菓子ある?
30分後
ん〜、あはは……
なつめちゃんとバチバチ勝負してた人とは思えないね
テクニック的には問題ないのに……
なぜか全然噛み合いませんね
(ちゃ、ちゃんとやらなきゃ! サポートとして
もっとサポートしないと!)
(それに、ちょっとの油断もダメ。
子どもの時みたいに、虹色が見えるなんてこと……)
だから言ったじゃない。練習でこの感じなんだし、
まだライブは厳しいんじゃないの?
もう一回! ……もう一回、やらせてもらえませんか!
背景
海沿いの道
う〜ん、いい風。
人工の浜だけどさ、ここはけっこう綺麗だよね
あの……よかったんですか?
練習中断しちゃって……
いいのいいの。
たまごボーロも調達しなきゃだったし!
奏多さんみたいな音楽をやりたいのに、
自分はまだまだだなって、思うことが多くて
奏多さんが演奏したあとは、お客さんみんなが笑ってて。
とっても幸せそうなんです
最初はただ、緊張してるのかなって思ってたんだけど。
ずっと息ができない、みたいな顔してたからさ
蛍ちゃんはどこか苦しそうに弾いてる、って
前に奏多が言ってたのを思い出して
ううん、謝ることじゃないよ。
わかんないけど、事情があるんだろうなーって
(お母さんにも……誰にも話したことのない苦い記憶)
背景
上手に弾けると、お母さんや先生が笑ってくれて……
そしたら、目の前がピカピカって
背景
虹色が見えるといい演奏ができて……
金賞を何度ももらうことができました
でも……そのせいで
一緒にピアノを習ってた子たちを傷つけてしまったんです
背景
……だ、だめだ私! お姉さんぶって聞いてみたけど、
全然アドバイスできそうにない!
それ、アスリートの人がなるゾーンってヤツと
同じ感じっぽく聞こえるよね
自分でもちゃんとわかってなくて……
その、たまに見えるってことしか
あ、虹色が実際どんなものなのかは、
私にはわからないけど……
そんなふうに綺麗に感じるものなら、
もったいないなあって
私は……誰かに自慢できる特技も、まして才能なんて
全然ないからさ〜
それにさ! とんでもない演奏っていうことなら、
私たちは奏多で慣れっこだし!
そうそう! メンバーがすごい演奏できるのなんて、
プラスでしかないもん!
あ、凪ちゃんからだ。
そろそろお散歩終わりそう? ……だって
背景
1週間後
(ちょっとだけど、バンドの練習にも慣れてきた……!)
(綺麗なフォームで、リズムもずっと正確で……
それでいて時々、熱いものが見える)
(一歩後ろで構えてて、足りないところに
スッと入り込んでくれるみたいな)
(格好良くて、いつも全力。
あたしを見ろ、って叫んでるみたい)
(やっぱり両立はすごく大変そうだけど……
まほろさんはすごくがんばってる)
背景 · 2
背景
(もうずっと何年も見てなかったのに、
どうして今……!?)
背景
最初からそれで弾きなさいよ!
やっとあんたらしくなってきたじゃない!
先輩さ、もっと普通に褒めてあげましょうよ。
今の演奏良かったって
すっごくいい感じだったよ!
その調子でがんばろうね!