幸せの中に · 汐見 蛍、伊沢 なつめ、琴平 凪、浜崎 まほろ、和泉 朋花 · 花飾りのためのデコール · millsage_004_1_19

(millsageの……それから、奏多さんの幸せは、 わたしが守るんだ)

詳情 20:24
章
花飾りのためのデコール
時長
20:24
發布
2025年12月31日
角色
汐見 蛍 、 伊沢 なつめ 、 琴平 凪 、 浜崎 まほろ 和 和泉 朋花

文字 248

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数時間前

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汐見家 蛍の部屋

蛍
…………
和泉朋花
昨日のこと、きちんと謝らせてください

和泉朋花

和泉朋花
最寄駅の改札前でお待ちしています
蛍
(企みがどうとかって言ってたけど)
蛍
(わたしには、責める権利なんかない)
蛍
(……ううん。それどころか――)
蛍
(millsageを、ぐちゃぐちゃにしてしまったのはわたし)
背景
背景
蛍
(奏多さんの、宝物だったのに)
蛍
(幸せでいてほしいと、願っていたのに)
背景
背景
蛍
(——ぜんぶ忘れて、虹色に浸ったわたしのせい)
蛍
(ひとりよがりに音楽を楽しんだ)
蛍
(そんなわたしが、
みんなを幸せにしたいだなんて……)
蛍
(おこがましい)
背景
背景
蛍
……バンド、やめなきゃ
蛍
このまま……わたしがいていいわけない
蛍
(勝手に入って、勝手に出て行こうなんて、本当に最低。
……でも)
蛍
これ以上、汚すよりは……ずっといい
蛍
!
蛍
(電話……? なつめさん……)
蛍
……もしもし
なつめ
蛍! あんた今どこにいるの!?
蛍
わ、わたしの家です
なつめ
まあいいわ、すぐ準備して出てきなさい。
この前のカフェ集合
蛍
えっ!? でも、わたし……!
なつめ
うっさいわね、これは先輩命令よ。
あんたに拒否権はないと思いなさい!
蛍
……言わなきゃ
背景
背景
蛍
……
朋花
蛍さん、わざわざお越しくださってありがとうございます
蛍
……どうして朋花さんが……?
なつめ
あんたの最寄駅の前で拾ったのよ。
ずーっと忠犬みたいに待ってたから
朋花
……蛍さん。昨日の件、本当にすみませんでした
蛍
……! いえ、わたしこそ皆さんにご迷惑を……
その……だから、わたし——
なつめ
言ったでしょ。あんたはやるべきことをやっただけ。
ファインプレーとして誇ってもいいくらいよ
蛍
……
なつめ
あんたにも歌ってもらおうって決めたのは
あたし達4人。責任はこっちにだってある
なつめ
全員に落ち度があったけど、本番は何とかなった。
それだけの話
なつめ
ま、あんたを利用してたらしい朋花のことは、
嫌うなり軽蔑するなり好きにすればいいわ
朋花
もう、そんなこと言わなくてもいいじゃないですか
蛍
…………
なつめ
どうせあんたのことだから、
わたしはバンドにいるべきじゃない〜とか考えてるんでしょ
蛍
っ!?
なつめ
やっぱり
なつめ
ダメよ。辞めるなんて許さない。
あんたはあたしに辞めるなって言った
蛍
……っ
朋花
……私からもお願いです
朋花
信じてもらえないかもしれませんが……
あなたは私の、希望なんです
なつめ
は?
朋花
光であり、炎であり、死神であり、 救世主 メシア
朋花
あなたの音楽は、私を幸せにしてくれるんです
なつめ
ふざけてんの?
ややこしくするなら帰って
朋花
真剣なんですが……
蛍
…………
なつめ
あたしは奏多のためにバンドをやってる。でも……
なつめ
それだけじゃない。
奏多のことを思いたい自分自身のために、やってる
なつめ
……シンプルに、バンドが好きだし
蛍
……
なつめ
あんたは? バンド、どうなの?
蛍
……わたし、は……
蛍
!
蛍
まほろさんから……?
なつめ
……はん、ちょうどいいタイミングね
まほろ
みんな、ガレージに来てもらえる?

millsage

まほろ
昨日のこと、ちゃんと話し合いたいんだ
背景
背景

ガレージ

なつめ
来たわよ
まほろ
あ、なつめちゃん……に、ふたりとも
まほろ
みんな一緒だったんだね
なつめ
まあね。そっちの話は済んだ?
凪
……まあ。それなりに
なつめ
そ。よろしい
蛍和凪
…………
蛍和凪
あの……!
あのさ……!
なつめ
はい、ストップ。
あんたらの謝罪タイムは後回し
なつめ
本題があるんでしょ? まほろ
まほろ
あはは……話が早くて助かります
まほろ
……蛍ちゃん
蛍
! ……はい
まほろ
昨日はごめん。ひどいこと言って。
蛍ちゃんに、感謝しなきゃいけないのに
蛍
そ、そんなことないです!
まほろ
そんなことあるよ。
蛍ちゃんが歌ってくれたから、ライブは壊れずに済んだ
まほろ
ううん……ライブだけじゃない。millsageだって、
蛍ちゃんががんばってくれたから、こうしてここにある
まほろ
本当に、ありがとう
蛍
…………
まほろ
……私、思ったんだ
まほろ
いろいろあったし、自分の無力さも思い知った
まほろ
……それでも、このバンドを終わらせたくないって。
それだけは本当なんだって
まほろ
だからmillsage、続けたい
まほろ
みんなはどう?
なつめ
はん。呼び戻しておいて、今さらよそでやれって言うつもり?
凪
やるよ
朋花
私ももちろん、ご一緒したいですが……
蛍
…………
まほろ
……蛍ちゃんは、どうかな
蛍
……わたし、は……
まほろ
…………
まほろ
蛍ちゃんはさ。バンド……どうだった?
蛍
え……
まほろ
私はね。
蛍ちゃんが来てくれて、止まってた時間が動き出して……
まほろ
やっぱりバンドって、音楽っていいなって、そう思えた
まほろ
蛍ちゃんは、そうじゃない?
蛍
……っ
蛍
…………わたし、も
まほろ
……
蛍
わたしも……っ、音楽っていいなって……!
バンド、すごく楽しかったです!
蛍
顔を上げたら、周りに皆さんの音があって……
あったかくて、幸せで……!
まほろ
うん
蛍
でも! わたしの音楽は、誰かを傷つけてしまうから……!
蛍
だからわたし……やっぱり
バンドなんて、やっちゃいけないんです
蛍
わたし、今日はそれを言いに……
まほろ
そっか……そうだよね、うん……
まほろ
私、浜崎まほろは!
もう傷つかないから大丈夫!
蛍
!?
まほろ
その、昨日のライブは……正直私も混乱しちゃって、
よくない態度を取っちゃったと思う……本当にごめん
まほろ
けど! 私はもう一度、あなたの前に立ってる
まほろ
ちゃんとあなたと向き合うって、決めたの。
もう逃げないよ
まほろ
それでね……ここからは私のお願い。
ボーカル、蛍ちゃんにやって欲しいなって
蛍
!?
蛍
な、何言ってるんですか……!?
そんなの、できるわけないです……っ!
蛍
だって……!
わたし、昨日のライブで……っ!
なつめ
言っとくけど、まほろだけじゃないわよ
なつめ
あたしだって、あんたなんかの音楽に
負けてやるつもりはさらさらないから
凪
……あれ、この前泣かされてませんでした?
なつめ
うっさい黙れバカ!
凪
あは……まあ、そういうことだから。
天才サマは奏多である程度慣れてるってわけ
朋花
そうですよ、むしろ全力で弾いてもらえないと、
お誘いした意味がなくなってしまいます♡
蛍
…………
まほろ
蛍ちゃん
まほろ
millsageに、入ってください。
あなたの音楽が、私たちには必要です
蛍
……
蛍
で、でも……っ!
まほろ
そりゃそうだよね。昨日、あんなふうになってたのに、
信じられないよね
蛍
そういうことじゃ……っ
まほろ
ううん、いいの。
じゃあ、信じてもらえるように証明するしかないよね
蛍
……?
まほろ
蛍ちゃん。私とセッションしようぜ
朋花、なつめ和凪
!?
蛍
せ、セッションですか……?
まほろ
正確には、バトルって感じかな?
まほろ
『鳴らす』のワンコーラスを、
それぞれ順番に、演奏しながら歌うの
まほろ
これは勝負だよ、蛍ちゃん
蛍
……!
なつめ
はん! いいじゃない。
しっかり見届けてあげるわよ
凪
何を言い出すかと思ったら……
朋花
だけど、私たちには馴染みのある提案ですよね
まほろ
じゃあ先攻は私から。
いいかな? 蛍ちゃん
蛍
……
まほろ
やりたくないって言うなら……
それでもいいから
まほろ
だから、今だけ。私の歌を聴いて!
蛍
……
まほろ
――♪
蛍
……!
蛍
(……こんなまほろさん、初めて)
蛍
(歌声、音……それだけじゃない。
身体中ぜんぶで叫んでるような音楽)
蛍
(わたしと向き合いたいって叫んでる)
蛍
(覚悟を、わたしに伝えようとしてる)
蛍
(——ああ、そうか)
蛍
(これはまほろさんから、
わたしへのエールでもあるんだ)
蛍
(ただボーカルを交代してしまったら)
蛍
(わたしが、迷ってしまうから)
蛍
(ボーカルは誰なのかをはっきりさせる。
これは、そういう儀式でもあるんだ)
まほろ
――♪
背景
背景
蛍
(……まほろさんはすごい)
蛍
(まほろさんだって、辛いはずなのに)
蛍
(真ん中に立って、歌いたかったはずなのに……!)
背景
背景
蛍
(そうやって笑って)
蛍
(怯えるわたしの手を引いてくれて)
蛍
(わたしも、この人の全力に応えたい)
蛍
……まほろさん……!
まほろ
……はあっ、はあ……!
まほろ
次! 蛍ちゃんの番だよ!
蛍
……はい
蛍
(わたしはなんて、幸せ者なんだろう)
蛍
(こんな素敵な人たちと出会って、受け入れてもらえて……)
背景
背景
蛍
(ねえ、奏多さん)
蛍
(宿題の答え、わかったかもしれません)
蛍
(どうすれば『みんなを幸せにする音楽』ができるのか。
その答え)
背景
背景
蛍
(虹色は、わたしの欲望そのもの)
蛍
(身勝手で、誰かを傷つける悪い音楽。
だから出してはいけない……そう思ってました)
背景
背景
蛍
(けど)
蛍
(……本当に『みんな』を幸せにするなら
『わたし』もみんなの中に入れなきゃ)
蛍
(本当のハッピーエンドじゃない)
蛍
(だから、もう逃げない)
蛍
(……ありがとう、まほろさん。みなさん)
蛍
(この満たされた気持ちで、演奏することこそが)
蛍
(みんなを幸せにできる音楽なんだ!)
背景
背景
蛍
――♪
まほろ
……!
背景
背景
まほろ
あははっ
まほろ
うん、やっぱり上手だ
まほろ
ね、奏多
背景
背景

数日後

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背景

ガレージ

蛍
ご、ごめんなさい! 遅くなりました!
なつめ
先輩たちを待たせるなんて、
新ボーカル様はずいぶんといいご身分のようね
蛍
うう……
まほろ
だめだよなつめちゃん、意地悪言ったら。
掃除当番があるって、ちゃんと連絡くれてたでしょ
凪
そうですよ。私らもさっき着いたとこでしたし
朋花
練習は落ち着いてからで大丈夫ですからね♡
蛍
はい……!
まほろ
あ、じゃあその間に〜……
私から、重大発表があります!
蛍
……?
なつめ
何? やっぱり作詞ギブアップする?
まほろ
しませーん! それは意地でもがんばりまーす!
なつめ
じゃあ何よ
凪
この前カレー3回お代わりした話とか
まほろ
ちょっ……!?
朋花
あら、健康的でいいと思いますよ♪
まほろ
待って待って、違うよ!
おかわりは2回だけで……ってそうじゃなくって!
まほろ
……ごほん
まほろ
彗星ライジング、みんなで目指してみない?
凪
!
なつめ
……へえ、いいじゃない
蛍
彗星ライジング……?
朋花
10代のバンドだけに出場権が与えられる、
甲子園的なコンテスト……でしたっけ
まほろ
そう! millsageはその決勝進出……いや、
優勝を目指そうと思います!
なつめ
決勝の舞台って、確か野音よね?
寿々谷音楽堂
なつめ
バンドの聖地に立てるなんて、最高にクールじゃない
朋花
ですが、どうして突然……?
まほろ
奏多がね、出たいって言ってたの
なつめ
! 何その話、初耳なんだけど
まほろ
あー多分、なつめちゃんに話がいく前に
私が断っちゃったから……
なつめ
そう……
まほろ
あっ、でもね! 奏多のためだけじゃないんだ
まほろ
私個人としても、目指してみたい
まほろ
色々あったけど、
挑戦することは諦めたくないから
なつめ
はん。簡単に言ってくれるわね。
彗星は『次に来るバンドの登竜門』って呼ばれてるのよ
まほろ
わ、わかってるよ。けど、やりたいの
凪
……うん。いいと思う
まほろ
凪ちゃん……!
凪
まあまずはちゃんと朝時間通りに起きるところから、かな
まほろ
も〜! また子ども扱いして!
凪
あは、ごめんってば
凪
……私も、置いてかれないようにしなきゃ
なつめ
まあ、挑戦することに異論はないわ。
いいじゃない、あたしにぴったりの舞台よ
朋花
ふふっ、私も異論ありません♪
大きなステージ、とっても楽しみです
まほろ
蛍ちゃんは? 
蛍
……はい、やりましょう!
まほろ
……! それじゃあ決まりね!
なつめ
目指すからには、練習はビシバシやるから
弱音吐かないでよね
まほろ
うう、たまにはちょっと吐いちゃうかも……?
朋花
それじゃあ早速、申し込みしちゃいます?
凪
お、仕事が早いね
なつめ
まずはライブよ。場数踏まなきゃ話にならないわ
まほろ
そうだよね。もっと経験積まないと……!
目指せ彗星、だもん!
蛍
(がんばろう)
蛍
(millsageの……それから、奏多さんの幸せは、
わたしが守るんだ)
蛍
(そしたらきっと、その先に。
わたしの幸せも――)
背景
背景
ハッピーエンド
誰ひとり、泣いたり悲しんだりしていない
みんなが笑っている幸せな結末
そうなる、はずだったのに
——わたしは、本当は何ひとつ、わかってなかった